ようこそ!犬プリの世界へ    
  
 
 
 
 
 
 
 
 

授業風景・教材の写真

2次関数のグラフの最大最小問題

2次関数の最大最小問題は、高校数学において、誰もが苦労する、最初に待ち構える関門だと思います。 数々の実践報告がありますが、僕は放物線を模造紙に書いて窓ガラスに貼り、手前の窓ガラスに ビニールテープで線を2本引いて授業をします。

もうお分かりだと思いますが、手前の窓ガラスを固定して奥の窓ガラスを動かせば、 範囲固定でグラフが変動する場合に対応し、奥の窓ガラスを固定して 手前の窓ガラスを動かせば、グラフ固定で範囲が変動する場合に対応させる ことができます。
この方法は、身近な素材で、実際に手で動かして体験できるところにポイントがあります。 しばらく窓に張りっぱなしにしておいて休み時間などに自由に遊ばせます。 最終的には関数の変化の様子を自力でノートに書いて考えるようにならねばならないので、 このような体験が重要かと思います。

 Σの公式について

Σの公式とは、次の3つの公式のことを言います。
 
教科書では、これらの公式を、「差分」という考え方を用いて証明しています(→Σ公式の証明)。 まあ、あれはあれで大切な考え方なので、1度は見ておいてほしい証明ですが、 これらの公式の意味、不思議さ、は残念ながら伝わってきません。 僕は授業では、図形や模型を使って説明します。
今回は、n=5 までの場合で各公式について検証してみたいと思います。   
  

(1) $\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k}$ の図形的意味

1+2+3+4+5の計算方法を考えてみよう。
下図を見てください。もうお分かりだと思いますが、この階段状のタイルは1+2+3+4+5を表しています。
このタイルを2組用意して反対にしてくっつけると、5×6の長方形が出来上がります。   
  
    
  
つまり、階段状のタイルの枚数は長方形の半分(5×6)÷2で求めることができます。
したがって、一般的に$\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k=\dfrac{1}{2}n(n+1)}$となることが 図形的に確かめられました。
なお、この公式は「1からnまで自然数を順番に足したもの」なので、初項1、末項n、項数nの等差数列の和と考えられ、 等差数列の和の公式 (初項+末項)÷2 より、簡単に導き出すこともできます。
\[ \displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k}=1+2+3+ \cdots\cdots +n=\dfrac{1}{2}n(n+1) \]
授業で説明する私。

(2) $\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^2}$ の図形的意味

下のような模型を用意します。
見ればわかるように、この模型には12+22+32+42+52個の ブロックが含まれています。

これは100円ショップで立方体の木片(12個入り)を購入して木工ボンドで貼り付けたものです。
(これは3代目のモデルで、初代は「激落ちくん」で製作しました。これはすぐにボロボロになったのでボツ。 木片で製作した2代目は奈良高校に寄贈しました。というわけで、これが3代目)

この模型を6個用意します。
この6個を組み合わせると直方体になるのですが・・・・・実際に生徒さんにやってもらいました。

意外に難しくて、途中で床に落っことしたりしながら、四苦八苦すること数分・・・・・

やっとこさ完成しました。
この直方体の3辺の長さに注目すると 縦5、横6(=5+1)、高さ11(=2×5+1)となっています。
つまり、最初の立体の木片の個数は(5×6×11)÷6で求めることができます。
したがって、一般的に$\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^2=\dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)}$となることが 図形的に確かめられました。

(3) $\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^3}$ の図形的意味

最後に、$\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^3}$の公式の解説をしよう。
最初に紹介した3つの公式を見て、 $\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^3=\left(\sum_{k=1}^{n}k\right)^2}$になっていることに気づきましたか?
具体的に書くと
\[ 1^3+2^3+3^3+ \cdots\cdots +n^3=(1+2+3+ \cdots\cdots +n)^2 \] ということになるのですが、これは実に不思議な関係式です。私は、この関係式を初めて見たとき、 雷に打たれたような衝撃を受けましたね(ちょっとオーバーかな)。どうして、数字を3乗して足したら、 そのまま足した和の2乗になるのか?この式を見れば見るほど、不思議さと美しさで感動した 記憶があります。
とりあえず、実際に確認してみると、
13=1=12   1=1
13+23=9=32   1+2=3
13+23+33=36=62   1+2+3=6
13+23+33+43=100=102   1+2+3+4=10
13+23+33+43+53=225=152    1+2+3+4+5=15
確かに、3乗の和が1乗の和の2乗になっています。なぜ、こんなことが起こるのか、図形を使って 説明したいと思います。
  
  
次のように解釈します。
まず、53を5×5×5=(5×5)×5とし、 「5×5の5倍」、つまり、下のような「5×5のタイルが全部で5枚ある」と解釈します。
         
次に、43を4×4×4=(4×4)×4とし、 「4×4の4倍」、つまり、下のような「4×4のタイルが全部で4枚ある」と解釈します。
       
その他も同様に、33は、3×3×3=(3×3)×3とし、 「3×3の3倍」、つまり、下のような「3×3のタイルが全部で3枚ある」と解釈します。
     
23は2×2×2=(2×2)×2とし、 「2×2の2倍」、つまり、下のような「2×2のタイルが全部で2枚ある」と解釈します。
   
最後に、13は1×1×1=(1×1)×1とし、 「1×1の1倍」、つまり、下のような「1×1のタイルが全部で1枚ある」と解釈します。
 
このように解釈すると、13+23+33+43+53は、 これらのタイルの合計枚数を数えることに他なりません。では、どのようにして数えるのか?
実は、上手く並べ替えることで、正方形の形を作ることができます。
       1枚を  
       1枚を  
      と分割しているところがポイントです。
この正方形の一辺の長さは、1+2+3+4+5なので、正方形内に含まれるタイルの総数は、 (1+2+3+4+5)2枚です。
つまり、13+23+33+43+53=(1+2+3+4+5)2 が成立することがわかります。
このことから、一般的に
\[ 1^3+2^3+3^3+ \cdots\cdots +n^3=(1+2+3+ \cdots\cdots +n)^2 \] が成立することがわかるので、$\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^3}$の公式

が成立することが分かります。
授業では、実際に生徒さんに黒板でやってもらいました。
最初にコツをつかめば、サクサクと並べ替えていけます。
こんな感じで、授業をやっています。

ハノイの塔

2項関係の漸化式an+1=pan+qの解法を学んだ後に、 「そもそも漸化式は何のためにあるのか」を紹介するために『ハノイの塔』を使って授業をしました。 『ハノイの塔』は有名なゲームなので、ここでは説明を省略します。
   やはり生徒に実際に作業してもらいたいと思い、ネットで模型を購入することにしました。
2人で1個にして共同作業させようと思い20個注文したつもりでしたが、 こちらの手違いで40個届いてしまいました。結局1人1個渡して作業させました。
これが届いた模型。10段の円盤があります。見た目はとてもカラフルで美しいですが、 円盤の穴が小さくてなかなか抜けないのもあり(無理に引っ張ると棒ごと抜けてしまう)、 作業開始時はテンヤワンヤでした。
デモンストレーション用に自作した『ハノイの塔』。
すべて100円均一商品です。土台は鉢植えのプランタン、 それに、太陽電池で光るライト(花壇などに突き刺すやつ)3本をボンドでくっつけました。 リングはおもちゃの輪投げです。一番大きな黄色のリングは、段ボール7枚重ねて作りました。 総制作費600円。
楽しそうに作業しています。
3枚、4枚、5枚と増やしていくごとに、人によって回数に違いが出てきて 「いったい最少回数は何回になるのか」ざわつく場面も。
生徒さんに前でやってもらいました。          授業が終わってからも議論する姿が・・・
授業で説明する私
板書の全景

正四面体の立方体への埋め込み

正四面体は立方体にすっぽりと埋め込むことができます。なかなかイメージしにくいので ホームセンターでアクリルの立方体模型を購入し、実際に正四面体を作って埋め込んでみました。 なかなか上手くできたと思います。この模型を見れば、正四面体の向かい合う2辺が垂直であることが 一目瞭然で分かります。
また、四面体の体積も、これまでは「(底面積)×(高さ)÷3」で求めていたと思いますが、 「立方体から余分な部分を抜き取る」という発想で考えれば、 四面体の体積が立方体の3分の1であることも分かります。

なお、正四面体に限らず、4つの面が合同な三角形である四面体(等面四面体)は直方体に埋め込むことができます。 このことをテーマにした入試問題も頻出なので(1996年東京大学後期理系、1999年京都大学後期理系など)、 頭の片隅に入れておくと損はありません。

ストローで多面体を作ってみました

東京大学で2008年に次のような問題が出題されました。

「正八面体のひとつの面を下にして水平な台の上に置く。この八面体を真上から見た図(平面図)を描け。」

普段、一般的に正八面体は右のような立ち位置で認識していると思います。
それを「ひとつの面を下にして置いて真上から見るとどう見えるか」なんて考えたことないですよね。 なかなか斬新でユニークな問題です。

これもなかなかイメージしにくいので、ストローを使って実際に正八面体を作ってみました。 100円ショップでストローとゴム紐を購入し、組んでいきます。

こんな感じです。ゴム紐の結び目は、解けてくるのを防ぐために木工ボンドで コーティングし、ストローの中に押し込んであります。 で、ひとつの面を下に置いて真上から見ると・・・・・

う~ん、「正六角形になる」というのが正解なんですが、ちょっと微妙な感じです。

さて、正四面体の各辺の中点を結んでいくと正八面体ができることを知っていますか? 言い換えれば、正八面体は正四面体に埋め込まれているのです。

実に美しいですね。おそらく東大の問題はこのことを背景にしてあるのだと思います。 この立体のイメージがあれば、この問題の解答も納得できるのではないでしょうか。
さて、以前に「正四面体が立方体に埋め込める」という話をしました。ということは、 立方体に正四面体が埋め込まれ、さらに正四面体に正八面体が埋め込まれるということになります。 これもストローで作ってみました

なかなか上手く作れました。やっぱり数学って美しいですね。

数学Ⅲ『積分』体積の授業風景

「体積は断面積の寄せ集め」ということを説明するために大根を使って授業しました。 特に円柱をナナメで切った立体の体積を求める問題では、立体のイメージ、断面のイメージが難しいので 実際に作って見せました。

コッホ曲線

オリスタの中に、フラクタル図形(コッホ曲線)に関する問題があったので、 フラクタルについて少し説明しました(僕は単に問題を解くだけではなく、その背景や一般論など 様々な話をしています)。 身の回りにはリアス式海岸やブロッコリー、小腸のじゅう毛など様々なフラクタルがあることを 紹介しました。
すると翌日の授業で、黒板にこんなものが貼ってありました。どうやら、フラクタルに図形に興味を 持った生徒が、手書きでコッホ曲線を書いたようです。
よく見ると図形の真ん中にはもう一人別の生徒が書いたコッホ曲線があり、 「三陸海岸は1.35次元」と書いてありました。ホンマでっか?

$y=x+\sqrt{4-x^2}$のグラフについて

$y=x+\sqrt{4-x^2}$のグラフは次のような形をしています。
実際に、微分して、導関数の符号変化を調べて、増減表を書いて・・・とすると、 結構やっかいで(特に符号変化を調べるあたりが)、なかなか右のような グラフのイメージができないと思います。
でも、オオザッパでよければ、上のような形のグラフになることは、一切の計算なしで分かります。 なぜなら、$y=x+\sqrt{4-x^2}$のグラフを、 2つのグラフ$y=x$と$y=\sqrt{4-x^2}$の足し合わせ であると解釈して、実際に2つのグラフ を 足し合わせればよいのです。
とは言うもののイメージが湧かないと思いますので、次のような教材を作ってみました。
円を画用紙でつくり短冊状に細分しました。
それを端から順番に、直線y=xの上に積んでいきます。
これで完成です。
近くて見るとギザギザしていますが、すこし離れてみるとそれらしく見えます。
トップページにもどる
inserted by FC2 system