賢者のことば
「これってエエ話やなあ」と感じたことを綴っていこうと思います。数学の学び方
日本人として初めてフィールズ賞(数学界のノーベル賞とも呼ばれ、世界で 最も名誉ある数学の賞)を受賞した小平邦彦氏は、『数学の学び方』という書で 「数学に王道なし」というタイトルの文章を寄稿されており、その中で、次のように 述べておられます。
- 「『代数学』を勉強したときの経験によると、はじめはわからない証明も 繰り返しノートに写して暗記してしまうと何となくわかる、少なくともわかったような 気になる。わからない証明を暗記するまで繰り返しノートに写す、というのが数学の 一つの学び方であると思う」
- 「このようにして一旦わかった定理の理解を深めるには別証を考えて見るのが 有効である。別証は定理が述べる数学的現象のメカニズムの別な見方を示すからである。」
- 「定理の理解を深めるには、また、定理をいろいろな問題に応用して見ることが有効である。 定理を自由自在に応用できるようになればその定理は完全にわかった訳で、 いろいろ定理を応用しているうちに証明を忘れてしまうことがあるが、 証明を忘れても定理がわかっていることに変わりはない。」
秋山仁「オロカ者の定義」(学研)より
ずいぶん昔に、奈良県生駒市で秋山仁氏の講演会を聴きました。
数学の諸公式を斬新な教材、教具を使って、実に面白く、分かりやすく、ご説明いただいたのを
(うっすらと)覚えています。
その後、秋山氏の思想に感化され、秋山氏の著作を何冊か読み漁りました。
その中で出会ったのがこの本です。
サブタイトルが「元気が出る!受験生改造講座」とあるように、
悩み多き受験生に対する熱いメッセージが込められています。
受験生の悩み相談に秋山氏が答える形式になっていて、
秋山氏独特の厳しくも温かい口調で、ズバズバとアドバイスしていきます。
私自身、受験生を指導する立場になって、多くの受験生を目の当たりにしてきましたが、
最近特に、メンタル面で不安を抱える生徒が増えてきた気がします。
そのような生徒にこそ、ぜひ読んでもらいたい本です。
この本では、「オロカ者の定義」として次の10タイプが紹介されています。 自らを振り返ってみて、思わず「ドキッ」とした人も多いのではないでしょうか。
- 自堕落な自分に気づかないやつ、意志薄弱な自分に対して
不満を感じなくなったやつをオロカ者という。 - 大学の名前にこだわり、自分が本当にやりたいと思ったことを
見失ってしまうやつをオロカ者という。 - 汗と涙の価値を知らぬまま、いい成績がとれたと
有頂天になっているやつをオロカ者という。 - 自分の思い通りにならないのは他人のせいだと考え、
厳しく己を律することを忘れた人間をオロカ者という。 - 偏差値によって人生を売るな。困難に挑戦する気概を放棄し
楽して結果だけを得ようとするやつをオロカ者という。 - 大切なのは感受性や思いやり、責任感。マークシートの点数だけが
唯一の判断基準だと思い込んでいるやつをオロカ者という。 - 人を信じるときに見返りを期待するな。
相手からも信じてもらえるという幻想に惑わされるやつをオロカ者という。 - いつまでも生活の姿勢を変えようとせず、
「自分には適性がない」などと言い訳するやつをオロカ者という。 - 不安の原因は自分自身にある。
それに気づいていながら無為に時を過ごしているやつをオロカ者という。 - 困難や苦労に立ち向かおうとせず、
楽に生きることのみに心をかたむけるやつをオロカ者という。
創立記念講演会における加藤雅也氏の話(平成27年11月2日)
11月1日は奈良県立奈良高等学校の創立記念日です。昭和47年より毎年、
創立記念日前後に卒業生による創立記念講演会が行われています。
平成27年度は俳優の加藤雅也氏(昭和57年卒)による講演がありました。
演題は「セルフプロデュース」。今をときめく芸能人ということで、
生徒(特に女生徒)のテンションが異常に高かったです。
講演内容は、ご自身のこれまでの経歴を振り返り、人生の転機となった要所要所で、
どのような選択と決断をして今日に至ったのかという、非常に示唆に富んだ内容でした。
これから社会に出て行く後輩たちへのアドバイスとして、とてもメッセージ性が強かったと思います。
生徒の心に強く響いたのではないでしょうか。
以下、心に残った言葉をまとめておきます。あくまでも講演を聴いての私の記憶なので、
加藤氏の言葉そのものではありません。だいたいこんな感じのことを言っていたということです。
- 「世界記録を狙う人が日本記録を出せるのであって、日本記録を狙っていては世界記録は出せない。 つまり目標を高く持つことで自分の能力を最大限に発揮できる。」
- 「時代の流れを読むこと。近い将来、この世の中から無くなる職業がたくさんあると思う。 しっかりと時代の流れを読んで、大学や就職先を選んでほしい。」
- 「お金のある時にこそしっかり勉強すること。車を買ったり、時計を買ったりしても、 いざ経済が破綻して、会社が倒産したりしたら、全部、没収されてしまう。勉強して身に付いた ことは絶対になくならないし、誰も取っていかない。」
- 「英語が話せれば世界が10倍広がる。しかし『英語が話せること』自体はそんなに偉いことではない。 英語を使って何を話すのか、何を伝えたいのか、その中身が大切。そのためにも しっかりと勉強して自分の意見をはっきり持つこと。」
- 「世の中に出ると理不尽なことや納得できないことに出くわすことが多々ある。 そういうときに『とりあえず我慢してやってみるか』という姿勢が大切で、とりあえずやってみてチャンスを待つ。 そうするためには、過去にそういう経験を積んできたかどうか、が大きな差になってくるわけで、 例えばいま、勉強に対して『なんでこんなことやらなあかんねん』とか『こんなんやって何の役に立つねん』 と思ってる人もいると思うが、とりあえずやってみることが大切。」
- 「自らのこれまでの経験だけで生徒を判断するのではなく、目の前の生徒をしっかり見て、 生徒の可能性を最大限に伸ばすような指導のできる先生になってほしい。」
ドラマ「女王の教室」より
「どうして勉強しないといけないんですか」という生徒の問いに対する,
阿久津真矢先生の答え。
「いい加減、目覚めなさい。
勉強はしなきゃいけないものじゃありません。したいと思うものです。
これからあなたたちは知らないものや理解できないものにたくさん出会います。
美しいなとか、楽しいなとか、不思議だなと思うものにもたくさん出会います。
そのときもっともっとそのことを知りたい、勉強したいと自然に思うから人間なんです。
自分たちの生きているこの世界を知ろうとしなくてなにができるというんですか。
いくら勉強したって、生きている限りわからないことは一杯あります。
世の中には、なんでもわかったような顔をした大人が一杯いますが、あんなのは嘘っぱちです。
いい大学に入ろうが、いい会社に入ろうが、いくつになっても勉強しようと思えばいくらでもできるんです。
好奇心を失った瞬間、人間は死んだも同然です。」
孔子のことば
(「之を知る者は、之を好む者に如かず。 之を好む者は、之を楽しむ者に如かず」)
「ものごとを知識として知っている(だけの)者は、これを愛好する者におよばない。 (さらに)これを愛好する者は、楽しんでこれと一体になっている者にはおよばない」 という意味です。『学ぶ』ということの核心を突いた名台詞だと思います。
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