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数学の学び方の極意10箇条

数学を学ぶ上での極意を10個にまとめてみました。

極意① 
数学が「できる」ようになるには、まずは徹底した基本の反復練習しかない

野球部の人へ。テレビで大リーグ中継を見ているだけで野球が上手くなるでしょうか?
吹奏楽部の人へ。プロの演奏をCDで聴くだけで楽器が上手くなるでしょうか?
そんなわけないですよね。見ているだけで、聞いているだけでは絶対に上達しません。 スポーツの場合、筋トレをしたり、走り込みをしたり、 一見、競技とは関係ないような基礎訓練を積み重ねることで、体力がつき、競技力の向上に つながるのです。基礎トレーニングなしにいきなり試合が良いプレーができるわけありません。 音楽の場合も同じ。音階練習を何回も何回も繰り返してこそ、綺麗な音が出せて、 曲が演奏できるのです。
つまり、ある技術を習得するには、頭でわかっているだけでは駄目で、 身体に覚えこませる必要があるのです。 どんな状況でも、頭より先に無意識に身体が反応するくらいじゃないと 「身に付いた」とは言えません。
このことは勉強でも同じだと思います。ボ~ッと授業を聞いているだけ、映像を見ているだけ、では 絶対に力はつきません。何度も何度も、手を動かして問題を解き、身体に覚えこませることが大切なのです。

数学者の小平邦彦氏も「わからないときは繰り返しノートに書き写して見ると大抵の場合 わかるようになる。わからない証明を繰り返しノートに写す、というのが数学の一つの 学び方であると思う」と述べておられます(→賢者の言葉)。
つまり、基本問題を何回も解いて(覚えるくらいにノートに写して)、 解法を自分のモノにすることです。

極意② 
自分のレベルに合った数学を、毎日、必ず、やり続ける

数学は積み重ねの学問です。ですから、 練習問題すらロクに解けないような参考書や問題集は放り出して、 できたら高校の教科書から、それも分かりにくいところがあれば中学校の教科書からでも 復習し直すことです。たとえまわりくどい勉強方法だと思っても、もっとも初歩的な ことから丁寧に積み上げていくことが、後で威力を発揮してきます。 目標が高いからといって難しいことをする必要はありません。あくまでも 自分のレベルに合った数学を、諦めず、されど休まず、コツコツとやるしかないのです。

極意③ 
テストを徹底的にやり直し、復習しよう

テストは自分の実力を客観的に測る唯一の方法です。 点数の良し悪しに一喜一憂せず、なぜ間違ったのかを冷静に分析しよう。 「自分の弱点がわかってよかった」「入試本番ではなく、いま間違えてよかった」 と前向きに捉え、「失敗から学ぶ」という気持ちを 忘れてはいけません(→テストのやり直し)。

極意④ 
間違いから目を背けてはいけない

自分の間違いを恥ずかしがったり、隠そうとする人がいます。 それでは人間は成長しません。誰しも間違いや失敗はあります。 絶対に間違わない人なんていません。間違いをそのままにせず、 なぜ間違ったのか、何が違ったのかをしっかり考え、次につなげればよいのです。 普段の学習でも、間違った解答は消しゴムで消さずにノートに残しておくことです。 あとで見直したときに「ああ、こういう間違いをしてたんだ」という記念になります。 ノートをケチらず、どんどん失敗をしてほしいです。 僕自身、高校時代に数学の先生から「問題を解くときに消しゴムを使うな」と言われました。 だったら、シャーペンで書く必要ないやん、と思い、それ以来今日まで、 数学の問題を解くときは全てペン書きです。

極意⑤ 
「わかったつもり」が最も危険。自分をごまかしてはいけない

言葉巧みな先生の授業や名物予備校講師の映像授業など、視覚や聴覚に訴える授業を聞くと、 なんとなく「わかったつもり」になってしまいます。本当にわかっていますか? 数学ができるようになるには素直な心が必要です。 エエカッコする必要はないのです。だまされてはいけません。

極意⑥ 
先生に質問する

とにかく、先生にどんどん質問し、先生を最大限利用しよう。 そういえば私は、FAXに電話、メイル、写メ、などあらゆる手法で質問に答えてきました。 過去には電車内や駅構内で質問に答えたこともありましたが、 ちょっと恥ずかしかったですね。24時間営業のコンビニみたいなもんですよ、先生は。

極意⑦ 
すぐに模範解答を見てはいけない。最低15分は考えるクセをつける

良くも悪くも「模範解答を見れば何となくわかってしまう」のです。 問題文と模範解答の間の思考過程において「どれだけ自分でウンウン悩んで考えたか」 が重要なのに、この部分をすっ飛ばして、模範解答だけを読んでも全く意味ありません。 ああでもない、こうでもないとウンウン考え悩むことで、脳をやわらかくせねばならないのに、 「もうムリ」と思考を閉ざして模範解答を見てわかったつもりになるのがよくないのです。
応用問題や入試問題などの難問の場合は模範解答を見ながら学習するのはアリですが、 4STEPなどの傍用問題集(授業と並行して取り組む問題集)は絶対に模範解答を見てはいけません。

極意⑧ 
最初からすべてを理解しようと思わないこと。

模範解答を見たいのを我慢して、諦めずにじっくり考えるのが原則ですが、 時間は無限にあるわけではないので、「わかるまで先に進まない」というのも考えものです。 曖昧なままだがとりあえず諦めて先にすすむ必要もあります。 後から分かってくることもあるからです。 いきなり全部を理解しようと思わないことです。

極意⑨ 
数学でプチ感動できる脳を持て。プチ感動の積み重ねが問題解決能力を高める

君は、問題を解いていて「うわっ!うまいこと、なってんなあ~」 「へ~っ!すごいなぁ~」と思ったことはありますか? 数学の問題で「美しい」とか 「面白い」とか思ったことがありますか? 悩んだ末に模範解答を見て「へ~っ」と感心する人と、 「ふ~ん」とスルーする人とでは数学の伸びに大きな差がある気がしますね。

極意⑩ 
実は数学は面白い。そんなに嫌いにならないでほしい。

一番最初の極意①で述べたように、 数学の知識やテクニックを習得するには、当然、ある程度の継続的な努力を必要とします。 自転車に乗れない人が乗れるようになるには、何度も転んで痛い目にあわねばならなかったり、 泳げない人が泳げるようになるには、何杯もプールの水を飲まねばならないのと同じです。 しかしながら努力を持続させるには、数学に対する興味関心が必要で、これがないと 不毛で退屈な価値のない努力に終わってしまうのです、 好きなことや興味のあることはどんどん頭に入ってくるはずです。 数学が苦手な人は、興味の対象が数学ではないだけのことです。 数学がワクワクする面白いものであることに気付けば、数学アレルギーもなくなるはず。 君たちに数学の面白さを気付かせるのはわれわれ教師の仕事です。 我々教員はそのことを常に肝に銘じておくべきです。
結局のところ「数学ができる」ための根源は、この極意⑩に集約されるのかもしれません。 「好きこそものの上手なれ」です。

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答案の書き方

「答案」とは,自分の考えを具体化した唯一のもので,採点者に読んでいただくものです. 「答案」を通して採点者と対話するのです.ですから, 採点者に自分の考えが伝わらなければ全く意味がないので,独りよがりな答案は絶対に 避けねばなりません.
次にあげる注意点をしっかりと守って,丁寧で分かりやすい答案つくりを心がけよう.

答案は左から右へ,上から下へ書いていくこと

といった答案を見かけます.答案は理路整然とまとめられたものでなければなりません. このような答案は困ります.

必ず説明を入れた答案を作成すること

「答えを出すこと」と「答案を書くこと」は全く別です.答案は数式の羅列ではありません. 日本語の文章として採点者に伝わらなければならず.単純な計算問題ではない限り, 何らかの説明が必ず入るはずです.とにかく日本語の説明文を書く習慣をつけよう. 「求める条件は~である」「~であることを示せばよい」などの文章表現は部分点獲得に 効果大です.

読みやすい文字で書くこと

必ずしも上手な字である必要はありません.ただし,きちんと判読できる文字を書くこと. 読み間違いを起こされてはもったいないです.

論理的にごまかしのない答案を書くこと

どんなにうまくごまかしたつもりでも採点者には必ずバレます.論理の飛躍がないように 十分注意すること.

限られたスペースを守り,時間内に答案を書ききること

小問の(1)や(2)で大幅にスペースを使ってしまい,メインの(3)で 解答スペースが足りなくなっている答案をよく見かけます. 大問全体を見渡して,各小問でどれくらいの解答スペースが必要なのか, ある程度,想定して解答する必要があります. また,時間配分も重要です.例えば,大阪大学(理系)は150分間の試験時間で大問5題,京都大学(理系)は150分間で大問6題です. つまり大問1題あたり25~30分しかありません.

答案には必要事項以外を書かないこと

前述の通り,答案スペースや時間が限られているので,余分なことを答案用紙上に書いている暇はありません. 例えば,筆算や単純計算などは計算用紙か裏面に書くべきです. しかし,必要ならば途中計算についても丁寧に書くこと. 出題者がどのレベルで答案を要求しているのかを見極めることが大切です.

解答問題や解答欄を間違えないこと

特に,選択問題がある場合などは要注意.採点対象外なので0点になってしまいます.

答案を書く前に,答えまでのある程度の道筋を立てておくこと

前述の通り,計算は別の場所で予め行っておき,また,答えまでの大まかな流れをイメージとして 描いておいたほうが良いです.答案がより論理的なものになります.

白紙答案に点数はない.ただし,問題の取捨選択も必要である

当然のことですが,白紙答案には点数がありません.自分の考えを何かしら書いておくだけで 点数になることもあります. しかし,逆に,その問題を捨てて他の問題に専念したほうが 得点が高くなる場合もあります. このあたりは臨機応変に対応しなければなりませんが,すぐにできることではないので 模試や演習などを通じて徐々に身につけてほしいものです.

より質の高い答案を作成するには,普段からの心がけが大切です. 今日から,今から,実践しましょう.

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テストのやり直しをしよう

テストが好きな人はいません。誰にとっても嫌なものです。 しかし、テストは自分の客観的な実力を知るためにはなくてはならないものです。 間違った問題は自分の弱点なんだから、悪い点数に落ち込むのではなく、 「弱点が発見できて良かった!」と前向きに考え、テストのやり直し、 復習をしっかりしましょう。
僕は生徒たちに「テスト勉強はするな」と言っています。 これは「テストで点を取るための勉強ではなく、自分に本当の学力をつけるための勉強をせよ」 という意味です。テストが返却された時こそ、自分の弱点を克服して数学をモノにし、 学力をつける絶好の時期です。わからない所は積極的に先生に質問して欲しいと思います (テストが終われば先生方は結構ヒマなのですよ)。やりっぱなしでは絶対に定着しません。
テスト前に勉強するのではなく、テストが終わってから勉強するのです。これが一番 効果的な学習方法です。

テストのやり直し方法

それではテストのやり直しはどのようにすればよいのでしょうか。注意しておきたいのは、 「テストのやり直し」とは、テストの問題をもう一度解き直すことではないということです。
テストの間違いには次の4つのパターンがあります。

①や②による間違いはほとんど気にする必要はありません。そのうち解消されます。 注意すべきなのは③と④です。③は基礎力不足、④は公式や解法の記憶間違いが原因です。

単なるカン違いなのか、根本的にわかってないのか、は大きな差です。 まずは答案を見て、自分の間違いがどのパターンなのかを分析しよう。 間違いの種類によって、勉強方法が変わってくるからです。 ただ漫然とテスト問題を解きなおすだけでは、力がつきません。

定期テストは満点をねらう

定期テストの問題は一部には難しい応用問題も出題されますが、 大半は教科書レベルの基本的な問題や問題集と同じ問題です。 授業で学習したことをきちんと理解して、問題集を(それなりに)やっておけば、 解ける問題ばかりです。
定期テストはいわば基本の確認テストです。 定期テストで平均点を大幅に下回っている人は基礎力が完全に欠如しています。 「定期テストは入試に関係ないのでできなくても良い」などと、勝手に都合よく解釈して、 定期テストをおろそかにし、塾などの勉強をやっている人は、たいてい失敗します。 君たちが今すべきことは、塾の問題を解くのではなく、 定期テスト内容を完璧にマスターし、もう一度解いたら満点がとれるようにすることです。 難しい応用問題は入試が近づけばイヤと言うほどやるので、今の時期は、 あくまでも基本的な問題を確実にマスターすることが大切です。 基本問題を一問一問、こつこつと理解し積み重ねるしか、数学を習得することはできません。

模擬テストについて

3年生になれば、毎月たくさんの模試を受験すると思います。 記述模試、マーク模試、大学別模試、などなど。定期テストよりも難しい応用問題が 出題されるので、なかなか解けないと思います。 「学校のテストはできるのに、模試の成績が悪い」というのはよくある話です。 しかし、学校のテストができるということは、基礎がしっかりと 身についているということなので、心配には及びません。逆に、 「模試は良いのに、学校のテストが悪い」という方が心配です。基礎ができてない上に、 たまたま出た問題が解けたに過ぎないので、自分の力を過信しがちになります。
いずにせよ、定期テストの場合と同様に、 4種類の間違いを意識して、やり直しをしっかりしてください。 外部模試の場合、かなり詳しい別冊の解説があります。また答案返却時には、 採点上の注意事項や講評が書かれた冊子ももらえるはずです。これらをしっかりと読むことです。
最終的に、入試本番までに理解できれば良い、くらいの余裕をもって学習を継続してください。

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 参考書紹介

 「やっぱり数学を基礎からやり直そう」と思ったことはありませんか。数学の復習をするのに、 4STEP問題集を解き直すというのは、あまりおススメできません。 なぜなら、4STEP問題集は授業と同時進行で使用してこそ効果のある問題集だからであって、 模範解答がないので、遠い昔にやった分野を復習するには向いていないからです。
 そこで参考書を利用します。最近の参考書は「うっそ~」というくらい分厚くなっています。 こんなに分厚い参考書は3年生になってから使い始めるものではありません。3年生になってからだと、 分厚すぎて逆にテンションが下がります。ですから、使い始めるなら2年生、遅くとも 2年生の夏休みまでがベストだと思います。

参考書の使い方

 参考書は持っているが利用してない、使い方が分からない、という声を聞きます。 参考書をどのように利用するのかというと、それは辞書代わりに使うということです。 英語で分からない単語があれば辞書を引くように、数学でも分からない問題があるときは、参考書から 似たような問題を探して解法を真似るのです。分厚い参考書を1ページ目から順番に解くのではありません。

 4STEP問題集の使い方の章でも述べましたが、問題を解くときには 別冊の模範解答を絶対に見てはいけません。 模範解答を見るくらいなら、参考書の中から類題を探して、真似して、自分で答案を作ってください。 この、「似ている問題を探す」「真似る」という作業も数学のチカラをアップするために必要なことだと 思います。これだけでも勉強になります。

おススメの参考書

 海外の書店を全てリサーチしたわけではありませんが (ドイツ、フランス、オーストリアの書店は見た)、おそらく日本の書店ほど受験参考書コーナーが 充実した国はないと思います。書店には、おびただしい種類の受験参考書が並んでおり、 いったいどれを選んでよいのか分かりませんね。
 日本の受験参考書は、なんといっても「チャート式」が時代を牽引してきたことは 疑う余地がありません。私の父親(昭和19年生まれ)世代が使っていたというから、 戦前、昭和初期から刊行され続けていることになります。これだけ長期間に渡って 受験生に愛用されてきたことは、真に驚くべきことです。
 しかし、その反面、「チャート式」が数学嫌いを増やしたのもまた事実です。その反動で、 「チャート式」に対抗するような形で、より平易で分かりやすい参考書が時代と共に どんどん登場してきました。「チャート式」VS「チャート式以外」という構図が 出来上がってきたように思います。
 そこで、新課程になった今、比較的入手しやすいものを、 「チャート式」と「チャート式以外」で難易度順に並べてみました。 最終的には、書店で実際に手にとって比較検討して自分で選んでください(これも勉強です!)。 とにかく、他人の噂やプライドに左右されずに 自分のレベルのあった参考書を選ぶことが重要です。
 「この問題だけは絶対にできてほしい」という必要最低限の問題は、どの参考書にも載っています。 あとは、章末問題の充実度や到達レベル、入試直前まで末永く使える内容かどうか、 レイアウトやデザイン、文章表現などが自分の感覚に合うか(結構、重要です)、が 判断基準になるでしょう。どれも、一長一短。とにかく、1冊に決めて ボロボロになるまで徹底的に使い込むことです。

 
 
超ハイレベル
赤チャート(数研出版)
 チャート式シリーズは大昔からある伝統的な定番の参考書。 その中で最もムツカシイのが、この「赤チャート」とよばれるものです。 参考書というより百科事典のようで、中身を見れば、思わず目がクラクラするほどです。 「これを完璧にすればものすごいチカラがつくだろうなあ……大学入試なんて楽勝だろうなあ……」 と、思うだけで、実際に使いこなすことはほとんど無理でしょう。まあ、一家に一冊あっても 良いかもしれませんが・・・・
「大学への数学」シリーズ(東京出版)
 月刊誌「大学への数学」は数学好きにとってはたまらない雑誌。 私も高校時代の数学の勉強はこれでした。ていうか、これしかやってない。 学校の教材など完全無視して、授業中もこの雑誌をひたすら読んで、解いてました (実に悪い生徒です。良い子は真似しちゃダメだよ)。 大学進学後もずっと購入し続けていて(25年ほど)、総計300冊以上所有してます (だからこんなにマニアックな教師になったのかも)。 巧妙でセンスあふれる解法が満載で、こういう解法をみて「なるほど」「面白い」と 実感できる人は、基本がしっかりと定着した数学的センスのある人でしょう。 数学が好きで得意な人にとっては魅力的でしょうが、そうでない人にとっては 「こんな解法、思いつくわけないやろ~」っと逆切れすることになるので要注意です。
 雑誌「大学への数学」の姉妹編である「1対1対応の演習」「新数学スタンダード演習」 「新数学演習」「解法の探求」「マスター・オブ・整数」などの、一連のシリーズは、難関大学志望者に 絶大な支持をうけていますが、やっぱりかなりマニアックです。 これらの本には基本問題は一切ありません。基礎基本が十分に備わった人が よりセンスを磨くための本です。
 数学が好きで好きでたまらない、将来は理学部数学科に進学したい、という人は ぜひとも挑戦してください。
 なお、私の教師経験の中で「この生徒なら使いこなせるだろう」と判断して、 これらの参考書を薦めた生徒はたった一人しかいません。彼は京大理学部に現役合格し、 将来は数学者を目指しています。
文系理系上位レベル
青チャート「基礎からの~」(数研出版)
 「チャート式」シリーズは、4STEP問題集と同じ出版社なので、 4STEP問題集とほとんど同じ問題が解説付きでバッチリ載っています。 4STEP問題集を解くときにこれを参考にする(つまり類題を探して真似る)というのは 最も効果的な学習方法です。
 理系上位の人でも、この「青チャート」の内容で十分でしょう。特に、章末問題(Exercises)には かなり本格的な入試問題がそろっているので、入試直前期まで使えます。 「4STEP問題集」+「青チャート」+「志望大学の過去問」の3点セットで大学入試対策は十分だと 思います。
 ただ唯一難点を挙げるとすれば、「例題→解説→練習問題→演習問題」という流れが、 ひたすら淡々と続いていくので、余程の根気と持続性がないと途中で飽きてしまいます。 特に数学に苦手意識のある人にとっては、面白みに欠けて少々キツイかもしれません。 あくまでも「辞書代わり」に使うべきだと思います。
 レベル、内容に関しては申し分ありません。
文系上位・理系標準レベル
黄チャート「解法と演習」(数研出版)
「青チャート」を1ランクレベルダウンした参考書。 行間隔も「青チャート」に比べるとゆったりと取ってあり、 「青チャート」ほどの圧迫感は感じません。 基礎的標準的な問題がそろっており、数学に不安を感じる理系の人は これでも十分でしょう。
 ここでも「例題→解説→練習問題→演習問題」という流れが、 ひたすら淡々と続いており、根気と持続性が要求されます。 やはり「辞書代わり」に使うべきでしょう。
センター試験レベルは十分にクリアしています。それ以上を望む場合は、 別の入試問題集などで補えば良いと思います。
「理解しやすい」シリーズ(文英堂)
 文英堂の参考書は、解説が平易でとても分かりやすく書かれているので、 数学が苦手な人には文系理系を問わず、この文英堂シリーズを強く推薦します。 特にこの「理解しやすい」シリーズは、例題や練習問題は 「黄チャート」と同レベルですが、章末問題がかなり充実していて、 「青チャート」レベル。そういう意味で「青チャート」と「黄チャート」の 融合版(「緑チャート」?笑)みたいなもので、使い勝手がとても良いです。 ですから、個人的には「黄チャート」よりもこちらをおススメします。
「完全マスター」シリーズ(文英堂)
 上で紹介した「理解しやすい」シリーズの半分くらいの厚さで、 基礎から標準までの絶対にマスターせねばならない問題をコンパクトにまとめてあります。 問題集と参考書のちょうど中間くらいのイメージでしょうか。 問題の分量もレベルも適切で、各章の始めには基本事項もまとめてあり、とても使いやすいと思います。 「参考書はちょっと分厚すぎて・・・」と思う人には強く推薦します。
「総合的研究」シリーズ(旺文社)
 かつて出ていた「本質3部作」(「本質の研究」「本質の解法」「本質の演習」)を 1冊に統合した参考書。「なぜ、そうするのか」という本質的な部分に注目し、 数学の歴史や問題の背景などにも触れてある、なかなか興味深い参考書。 コラム欄も充実していて、興味関心を高める工夫がなされている気がします。 やや問題数が少ないのが残念ですが、それは他の入試問題集で補えば良いでしょう。 僕は、こういうタイプの本は好きですよ。
「標準問題精講」シリーズ(旺文社)
 他の参考書の3分の1くらいの厚さで、基本問題は少なく、いきなり標準的な ややムツカシイ問題から始まります。標準以上の問題をコンパクトにまとめて あるので、基本事項を十分にマスターしている人にとってはちょうど良いかもしれません。 ただ、コレだけで十分かと言われれば、やや不安は残ります。 あくまでも短期間で効率よく(例えば夏休みに仕上げる、とか)、標準レベル以上のことを学習したい人向け。
文系・理系標準~基礎レベル
白チャート「基礎と演習」(数研出版)
一連の「チャート式」シリーズの中で最も平易な参考書。 「赤チャート」や「青チャート」と比べると、その差は歴然で、 基本的な問題をただ並べただけの無味乾燥な感じを受けますが、 この基本問題が確実に解けることが、入試対策の最低通過関門です。
マイベスト「よくわかる」シリーズ(学研)
 ページをめくってビックリ!とにかく多色印刷でカラフル。 章末問題には「センター試験コーナー」が 設けられておりセンター試験の雰囲気を味わうことができます。 「そんなん別に過去問やったらエエやん」って思う人もいるでしょうけど。 レベル的には「白チャート」とほぼ同レベル。見た目のカラフルさと章末問題のユニークさで ややこちらのほうに軍配が上がるでしょうか。
「基礎問題精講」シリーズ(旺文社)
 基本問題だけをコンパクトにまとめた薄手の参考書。教科書の延長線上にあって、 基本事項だけを短期間に手っ取り早く復習するには適していますが、やはり問題数が少なすぎます。
文系・理系基礎レベル
「これでわかる」シリーズ(文英堂)
 これも非常にカラフルな体裁で、写真やイラストが多用されており、親しみやすい参考書です。 教科書レベルの本当に基礎の基礎から詳しく丁寧に書いてあるので、教科書の理解すら おぼつかない人には強く勧めます。
表紙のクマさんの絵が親しみを感じますね。
「やさしい高校数学」シリーズ(学研)
 昨今の流行の「フツーの参考書なんて堅苦しくってイヤ」というわがままな人向けに開発された(?) いわゆる会話口調の講義形式の参考書。この類の参考書には他にも「マセマシリーズ」や 「東進ブックス」などがありますが、まあ、基本事項を短期間で一気に読み上げるには 適していますが、じっくりと考えて理解する勉強には向いていません。 「もう一度、授業を聞きたい」「解説してほしい」という人には、こういった本は最適 でしょうが、授業を聞いているだけでは数学は出来るようにならないのと同様、 コレだけでは不十分でしょう。
 まっ、これはこれで良い本ですけどね。
「語りかける高校数学」シリーズ(ペレ出版)
 上で紹介した「やさしい高校数学」シリーズとほぼ同じ体裁の参考書。 このような会話口調の講義形式の参考書が流行るのは、我々にとってはちょっと悲しいですが、 これも時代の流れなのでしょう。確かに数学が苦手な人にとっては、「チャート式」のような 「例題→解説→練習問題」の繰り返しの参考書よりは、親しみやすい文体で書かれた 参考書の方が、とっつき易く勉強も進むと思います。会話調で説明が進むので、1つの問題に かけるページ数は多く、当然ながら「分厚いわりに中身が薄い」という事態が起こります。 あくまでも、基本概念をザックリ理解するための本、より高いレベルの参考書に進むための 準備体操的な本、と割り切りましょう。

統合的な参考書

ある程度、学習が進んでくると、大学入試を意識して全分野を網羅した統合的な参考書が 欲しくなってくると思います。特に高校3年に近づくと「今から分厚い参考書を買うのはキツイ。 要点をコンパクトにまとめた参考書はないの?」と思ってくるはずです。
というわけで、以下におススメの参考書を紹介します。
「文系の数学」シリーズ(河合出版)
赤本と青本の2冊セット。赤本は「重要事項完全習得編」とあるように、 基礎~標準レベルで、大学入試の必須問題がほとんどすべて網羅されています。 いずれも、絶対にマスターせねばならない定番の超重要問題ばかり。 一方、青本は「実戦力向上編」で標準~応用レベル。国公立2次試験レベルの 重要問題が紹介されています。 赤本、青本共に解説がとても詳しい。 難点は、問題と解説が別々になっていないので、すぐに答えを見てしまう 巻末に取り外せる演習問題が付いていますが、 タイトルが「文系の数学」となっていますが、数学に苦手意識を感じる理系諸君にも 強くおススメします。

 問題集紹介

ここ最近になって、様々な問題集が販売され始めました。私としては、 上で紹介した参考書と学校で与えられている問題集、それから大学の過去問があれば、 入試数学の勉強材料は十分なので、あえて問題集を購入する必要はないと思います。 そんなに数学ばかりやってられないしね。
大学別問題集
25ヵ年シリーズ(教学社)
東大、京大、阪大、神大、東工大、一橋大などなど多数出版されています(一部は15ヵ年)。 各大学の過去問を分野別に並べてあり、特定分野の過去問対策にはうってつけです。 解説も的確で、志望校が決まれば迷うことなく取り組みたい問題集です。 しかし、各問題の最初に難易度ランク(A、B、C)が記入してあるのが残念なところ。 生徒は「難易度A」=「カンタン」、「難易度C」=「ムズイ」と先入観をもってしまうのです。 本来、難易度は自分で判断するものであり、全5問または全6問のセットをみて、 絶対に解くべき問題と無理に解かなくてもよい問題(いわゆる捨て問)を瞬時のうちに判別する 能力が要求されるからです。 問題の最初に記入せず、どうせなら巻末にまとめて難易度を一覧表にして載せてほしかったですね。 また、後期試験の問題が全く掲載されていないのも残念です。
なお、これらの難点をすべてクリアしているのが、「過去問50ヵ年シリーズ(聖文社)」ですが、 さすがに受験生向けではありません。僕は全種類もっているけどね。
「世界一わかりやすい」シリーズ(中経出版)
東大理系、東大文系、京大理系、京大文系の4冊が出版されてます(京大の方が東大より分厚い)。 すべて過去問の解説です。 中経出版の本は得てして「軽いノリ」のものが多いのですが(失礼)、この4冊に関しては、 解説が非常に丁寧に書かれており、とても分かりやすいです。なので、この本を読めば 「ひょっとして合格できるんとちゃう?」と自信がみなぎると思います。 「東大京大を目指そうと思うけど、いきなりガチで過去問をやるのはキツイ」 という人には強くおススメします。
参考書と問題集の中間地点
ハイレベル理系数学(河合出版)
おそらく、現時点での国内最高難度の入試数学問題集。「こんなに難しい問題集は あまり売れないから、出版社も採算合わないだろうねえ」と思わず心配してしまうほど。 私の生徒で東大に現役合格したN君も「こんなん無理!」と投げ出してしまいました。 まあ、本番の試験会場で周囲の者を威圧するために、持っておいてもよいかもしれません。
やさしい理系数学(河合出版)
う~ん、タイトルに「やさしい」とありますが全然やさしくない!上の「ハイレベル」に 比べて「やさしい」のであって、この問題集はかなりの高難度です。
この問題集の良いところは、別解がたくさん載っているということです。あるレベル以上に なってくると「この問題はこう解く」というマニュアル的な学習ではなく、 「この問題はこんな風にも解ける」という発展的な学習が不可欠です。そういう意味で この問題集の価値はありますが、それも「あるレベル以上の人」が対象なので、 初学者は絶対にやめたほうが良いでしょう。
いわゆるフツーの問題集
「とにかくひたすら問題を解きたい」という人のための問題集を紹介します。 しかしながら、現役生の場合、普段の授業があり、学校でも問題集を与えられていると思うので、 このようなタイプの問題集に日常的に取り組むことは不可能でしょう。 基礎基本を十分学んだ人が、あくまでも、知識の総整理として、 短期間で集中して取り組む本だと思います。
「良問プラチカ」シリーズ(河合出版)
古くは「入試精選問題集」として各科目別に出版されていた河合塾の総合問題集。 その後、科目統合され「プラチカ」というよく分からない名前に変わって、 理系用は「数学ⅠⅡAB」と「数学Ⅲ」、 文系用は「数学ⅠⅡAB」として出版されています。 出版された当時は、多数の受験生が愛用し、「入試問題集といえばプラチカ」という時代が長く続いてきました。 しかし、それは「数学ⅠⅡAB」の統合問題集が他になかったから、 他に選択の余地がなかったからであり、今は昔の話。 我々も、この本しかなかった時代は(仕方なく)生徒に薦めていましたが、 他にもイロイロ出版されている昨今、あくまでも選択肢の一つです。 難易度としては、標準以上で難問も含まれており、 「数学ⅠⅡAB」が理系用と文系用で 分かれており、当然、理系用がムツカシイのですが
「厳選!」シリーズ(河合出版)
大学入試数学問題集理系262
大学入試数学問題集文系142
最初、理系用を見たとき「あれ?プラチカの表紙が変わった?」と思った。
「重要問題集」(数研出版)
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おススメの本

数学や受験についてのおススメの本を紹介しよう(一般向けの本です)。

『生きること 学ぶこと』

広中 平祐 著 集英社文庫 2011年

私が中学高校時代に愛読し、影響を受けた本。

『受験必要論』

林 修 著 集英社文庫 2011年

『受験脳の作り方~脳科学で考える効率的学習法』

池谷 祐ニ 著 新潮文庫 2011年

『オロカ者の定義~元気が出る!受験生改造講座』

秋山仁 著 学研 1995年

『数学流生き方の再発見~数学嫌いに贈る応援歌』

秋山仁 著 中公新書 1990年

『新 数学の学び方』

小平邦彦 編 岩波書店 2015年

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